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| 筆者の玉映 | 名は幾千姫。文化2年(1805)6月13日~文久3年(1863)12月17日。59歳歿。出雲松江藩主・松平治郷(不昧)の四女。幾千姫は、側室シズの子であるが幕府へは不昧と方子の子(四女)として届出。方子は、母として幾千姫を養育し和歌などを丁寧に指導したことで知られる。幾千姫は、のち佐倉候堀田相模守正愛に嫁す。 書画、和歌に堪能で「玉映」と号した。筆蹟は父・不昧に類似し、和歌は母・方子【せい(靑に彡)せい楽院(仙台藩主伊達宗村の娘)】の趣がある。 |
| 来歴について | 幾千姫の母・せい楽院(不昧公正室・より子)の生家である仙台藩から同藩の藩医・木村寿禎の家に伝来したものである。書かれた来歴が克明にわかる貴重な「百人一首」である。 |
| ちらし書きについて | 「百人一首」の和歌は、一行書、または二行書で、それ以外を「わかち書」または、「ちらし書(かき)」という。今回出品した自筆は、掛軸として飾ることを前提に、色彩が豊かで絵画的な和歌をより美しく見えるように文字をちらして配置した「ちらし書(がき)」の技法を用いている。 幾千姫は、女性らしく歌の微妙な感情を和歌の「文字」に投影して配置したうえで、文字をより美しく絵画的に見えるようい象徴的に表現した。元々は室町時代に茶道が広まり和歌を記した小倉色紙を茶室に飾ることが流行してから出現したもので、古い時代の「茶掛」の伝統を受け継いでいる。 |
| 自筆の希少価値 | 自筆の稀少価値は、和紙の生成技法の緻密さにあります。上の「拡大断層(MRI)写真」でわかる通り、極めて薄い和紙の上に墨の文字がくっきりと浮き上がるように文字が記されております。 出品している書の「断層(MRI)写真」の原板は、レントゲン写真と同じ新聞の半分ほどの大きさのフィルムです。肉眼では見ることのできない和紙の繊維の一本一本のミクロの世界を見ることができます。 古切の書は、一旦表装を剥離し分析と鑑定検査のために「断層(MRI)写真撮影」をしております。 |
| 断層(MRI)写真 | 従来、日本の古美術の鑑定の際の分析・解析は、エックス線写真、赤外写真、顕微鏡が中心です。一方、アメリカやイギリスでは研究が進み和紙の組成状況を精確に分析・解析をするために断層(MRI)写真が利用されており、今回の出品に際し、「断層(MRI)写真」を資料として出しました。本物を見分けるための欧米の進んだ分析・解析技術を見ることができます。 |
| 寸法 | 「百人一首」自筆の大きさ タテ27.5センチ ヨコ17.3センチ。額縁の大きさは タテ40.0センチ ヨコ30.0センチです。 額縁は新品です。 |
| 筆者の分析について | 国内における鑑定人は、自筆の筆者を識別するために、個々の文字ごとに字画線の交叉する位置や角度や位置など、組み合わせられた字画線間に見られる関係性によって、個人癖の特徴を見出して識別する方法、また個々の文字における、画線の長辺、湾曲度、直線性や断続の状態、点画の形態などに見られる筆跡の特徴によって識別する方法、そして、書の勢い、速さ、力加減、滑らかさなどの筆勢によって識別する方法が一般的となっている。 一方、欧米では一般的には、「筆者識別(Handwriting Analysis)」と呼ばれる文字解析をコンピューターの数値によって解析している。数値解析は、文字の筆順に従いX、Y座標を読み、そのX、Y座標をコンピューターへ入力後、コンピューターによって多変量解析を行う。解析の基準となるのが「ドーバート基準」で、アメリカでは日本国内の画像データを自動的に収集、自筆の分析に際し、数値データをコンピューターで自動的に解析し「極似」した画像データによって筆者を識別する研究が進んでいる。 |
| 剥離痕について | 出品の自筆「百人一首」は、掛軸に表装されて主に茶会の「茶掛」として鑑賞に用いられていたため、掛軸や屏風などに複数回表装し直された痕跡を示す「剥離痕」が確認されている。 自筆の保存維持管理の関係で「額縁」に表装しているが、元の状態の掛軸に戻すことが可能なように、「Removable Paste(再剥離用糊)」を用いている。 |
| ホームページ | 出品以外の所蔵品を紹介した出品者のホームページ「源氏物語の世界」をご覧ください。 ツイッター「源氏物語の世界」も合わせてご覧ください。 |